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ぺんてるは、日本をはじめ世界各地に製造工場を持っている。その中のひとつ、埼玉県吉川市の吉川工場ではシャープペン、替芯の開発・製造を専門に行っている。普段は外部の人間は一切中に入ることができない、言わばぺんてるシャープペンの心臓部だ。


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その心臓部に伺い、「グラフ1000」と「オレンズ」の開発関係者の方にお話しをお聞きしてきた。
まず今回は、「グラフ1000」のお話から。


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「グラフ1000」開発時に開発室に在籍していたという
ぺんてる(株)中央研究所 第7開発室 主任専門職 安孫子 大慶さん



■グラフ1000誕生の経緯

ご存知の方も多いと思うが、今や誰もがふつうに使っている0.5mm芯径ノック式のシャープペンを世界で初めて作ったのは、ぺんてるだ。1962年のことである。

そのシャープペンの中に、プロの設計者が使う製図用シャープペンというジャンルがある。ぺんてるでは1965年に「PG」というモデルを皮切りに、数々の製図用シャープペンを世に送り出してきた。ぺんてるでは、他社の製図用シャープペンと明確に差別化できる製図シャープペンの決定版を作ろうと企画することになった。
そして、1986年に生み出されたのが「グラフ1000」だった。

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28年というロングセラー。
累計出荷本数は1000万本を超えている。



■マットブラックの先金

「グラフ1000」では、従来の製図用シャープペンにはない様々な工夫がされている。
たとえば、先金と言われるペン先パーツをマットブラックにしている点がそうだ。今でこそ当たり前だが、それまでの製図用シャープペンでは、この先金がピカピカ光るメタルパーツのものばかりだった。

あえてマットブラックにしたのは、製図に集中できるためだ。マットブラックにすることで、ペン先が不用意に光ることがない。
つまり、製図シャープペンの本質的な機能をより強化した訳だ。結果として、プロ仕様のデザインに仕上がった。

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■独特のフォルムのステップヘッド

その先金のフォルムもこれまでにないスタイルになっている。当時の製図用シャープペンではだんだんと先が細くなる円錐スタイルが中心だった。それを階段状 の「ステップヘッド」にした。ぺんてるの方によると、製図シャープペンでこのフォルムを取り入れたのはぺんてるがはじめてだそうだ。



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そもそも、製図というものは細かな線を引くことが多い。そのため常にペン先まわりの視界をよくする必要がある。
円錐型の斜めのラインよりガクンガクンと階段状になっている方が段差の分だけ細かな部分がよく見えるようになる。


■心地よさと正確さを両立したグリップ

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そして、「グラフ1000」の中で、とりわけ際立っているのがラバーと金属のコンビネーショングリップだ。
実はこのスタイルのグリップは「グラフ1000」以前に発売されていた一般筆記具「P115」で先に採用されていた。それをベースに製図用グリップに進化させていたのだ。


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ラバーと金属のコンビネーショングリップを初めて採用した「P115」シャープペン(現在は生産・販売しておりません)

ラバーのよさは、滑り止め効果がある点。だが、デメリットもある。弾力がある分、ギュッと握ると凹んでしまう。
特に精密な線を引く製図ではちょっとしたグリップのフィーリングの変化も大きく影響してしまう。
そこで考えられたのが、金属に穴を開け、そこからラバーを出すという方法。これならラバーならではの滑り止め効果が得られ、ギュッと握りこんでも金属があるので安定したグリップも得られる。

今回の取材ではじめて知ったのだが、このグリップはひとつひとつ手作業で組み立てているという。
試しに私もやらせていただいたが、これがかなり難しい。ラバーを半分に折りたたんだ状態で金属グリップの中に入れる。そして、細い棒を使ってメタルの穴からひとつひとつのラバーをキッチリと出していく。これがなかなかうまくいかない。5分くらい格闘したが、私にはできなかった。熟練の方だと、さっと組み立ててしまうという。

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左がメタル(アルミ)製のベースグリップのパーツ。
そして右がラバー(シリコン)パーツ。
別々になった姿もこれはこれでなんとも格好よい。

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こうして細い棒を使って
ひとつひとつ手作業でセットしていく。
なお、実際の製造現場では金属の専用治具を使用している。



■常に一定の芯を出すこだわり

私は「グラフ1000」0.7mmのヘビーユーザー。アイデアを発想する時や取材の速記などによく使っている。
「グラフ1000」の中で、個人的にずっと 疑問だったことがあった。それは、先金をはずしてノックをしてもカチカチと芯がちゃんとでてくること。他のシャープペンでは、先金をはずすとノックをして もカチカチ芯が出てくることはない。
なぜ、わざわざこうした作りにしているのか、お聞きしてみた。

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ぺんてるでは、ノックをしたときに芯が出る精度に大変なこだわりがある。
たとえば、金属チャックの0.5mmシャープペンであれば、10回ノックすると芯が必ず5mm出るようにするという、ぺんてる独自の基準がある。先金なしでもノックできる機構は、それを確実に実現するためだという。

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構造的には、カチッとノックするためには、芯を押さえているチャックを一時的に解放する必要がある。ふつうのシャープペンでは、そのパーツが先金の内側にあるため、外してしまうとカチカチできなくなってしまう。「グラフ1000」では、そのチャックを解放するための機構を本体側に備えている。だから、先金があろうとなかろうと関係がない訳だ。つまり、先金が仮にわずかにゆるんだりしても影響されることなく常に一定の芯を送り出すことができる。先金に左右されずに常に一定の芯を送り出すという、こだわりの現れだったのだ。



「グラフ1000」の先金を取り外した状態でノックしても、カチカチと芯が出る様子がご覧になれます。



■私が「グラフ1000」を使い続ける理由
  • 他のシャープペンでは、得られないメタル&ラバーの心地よいグリップ。
  • 手にすると、存在が消えてしまうほど自然な使い心地がある。つまり、アイデアを「書く」ことだけに集中させてくれる。
  • 本質的な部分(製図をすること)だけに研ぎ澄ませた機能、そしてデザイン。



「グラフ1000」商品詳細ページ

http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/graph1000/



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