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ぺんてるのロングセラーゲルインキボールペン「ハイブリッドテクニカ」。そのボールペン一本でユニークな絵を描いている方がいる。

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独特な世界観の作品を描きだす河原大さん

河原大さんは、株式会社キャドセンターという企業に勤めている。同社は、コンピューターグラフィックス、インタラクティブコンテンツ、アプリ開発などを行っている。
河原さんのお仕事は、コンピューターを使った3次元の地図の製作。主に自治体の都市計画やハザードマップなどに使用されているという。

そうした仕事とは別に、河原さんは独自の作風の絵を描いている。ご自身いわく、絵を描くことは仕事ではなく、あくまでも趣味なのだという。ただ、その腕前は会社も認める程で、同社が毎年発行しているカレンダーにも採用されている。
実際に描かれた絵の数々を拝見したが、もはや趣味の域を遙かに超える作品だった。作品を見ると、おもわず絵の近くまで顔を寄せて見入ってしまう不思議な吸引力がある。

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河原さんの作品は株式会社キャドセンターのカレンダーに採用されている


■見ていると絵の世界に吸い込まれていく

河原さんが描く対象は、街や都市空間。A4サイズほどの紙の中にギッシリと建物や道路が精密に描き込まれている。これを「ハイブリッドテクニカ」の0.3mm一本で描いているという。
「ハイブリッドテクニカ」と言えば、事務用のゲルインキボールペンだ。「ハイブリッドテクニカ」が絵を描くペンになるとは、しかもこれほどまでに精密な絵が生み出せるとは意外だった。
 
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新宿の高層ビルからインスピレーションを受けた作品。
ただそのほとんどは空想で描かれている。街の中や奥の方に太い木が伸びている。

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上の作品の一部を拡大したもの。
ひとつひとつのビル、そして窓に至るまで丁寧に描きこまれている。
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河原さんが愛用している「ハイブリッドテクニカ」

この精密な都市空間は模写ではない。全て河原さんの想像だけで描かれているものだ。なにかを見て描いているとしか思えないほど、絵にはリアルさが満ちあふれている。

しかも、下描きは一切ナシ。いきなり「ハイブリッドテクニカ」で描き始めるというスタイル。つまり一発勝負だ。
下描きがないということで、一体どこから描きはじめているか不思議に思ったのでお聞きしてみると、特に決まっていないという。あるときは町の真ん中にあるビルから描きはじめ、そこからすぐ隣のビルや道路などを描き連ねていくのだという。
それは、まるで町を増殖させていくような描き方だ。

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ずっと同じところばかりを描いていると飽きてしまうので、少し離れたところを描いたりもする。そうした描き方なのに、出来上がったものは、そのつなぎ目がどこなのかわからないくらい一体感がある。

河原さんがこだわっているのは「俯瞰」。
たとえば、町を上空から45°から見ると決めたら、視点を定めてひたすら描いていく。それ故、離れたとこを描いても最終的には一体化していくのだ。

河原さんは、自分で描いたこうした絵を「地図」ではなく「絵図」だと話す。

地図は、平面の情報だが、「絵図」はビルだと3面が表現できる。地図よりもたくさんの情報があり、河原さんはこれを贅沢な絵であると感じ、子供の頃から好きだったという。
 
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河原さんが中学生時代に描いた大阪城をとりまく町。
シャープペンで描いている。


俯瞰で町を見ることが好きだった河原さんは、すでに中学生の頃から地元の大阪城を描いていた。その後も都市への興味はさらに強まり、大学では「地理学」を専攻。

ご本人は、あくまでも趣味だと言うが、実は都市や地理についての基本がしっかりと備わっておられるのだ。だから、空想都市なのにリアルさがあるのだろう。


■「ハイブリッドテクニカ」でないと描けない理由

これまで河原さんは絵を描くペンを色々と試してきた。中学性の頃は0.5mmシャープペン、大学生の時は製図用の極細ペン。その後1990年頃、市場に登場してきたゲルインキボールペンを使い始めた。

実は当初、他社のゲルインキボールペンを使っていたという。しかし、インクがまだ残っているのに途中で描けなくなったり、インクがかすれることもあったり、河原さん自身筆圧がとても強くペン先が壊れてしまうこともあった。

そんな中、当時発売されたばかりの「ハイブリッドテクニカ」を使い始めた。このペンは、先ほどの不満点を全て解決してくれるものだった。
「ハイブリッドテクニカ」は、ペン先が金属の削りだしの塊で作られている。これが河原さんのハードな筆記にも十分耐えられるものだった。以来10年以上も「ハイブリッドテクニカ」を愛用し続けている。そんな河原さんは常に何本もの「ハイブリッドテクニカ」0.3mmをペンケースに入れて並行して使っている。

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ずっと同じペンを使っていると、どうしても飽きてしまうらしく、途中で新しいペンを使い始めるそうだ。
「ハイブリッドテクニカ」が良いのは、使用途中のペンも新しく使いはじめたペンも、それまでの筆跡と全く同じ線が描き続けられる。つまり、個体差がない。
この点も、河原さんが「ハイブリッドテクニカ」に絶大なる信頼を寄せている理由だ。

ゲルインキボールペン、特に河原さんが愛用している0.3mmとなれば、書き味はどうしてもカリカリしたものになる。
河原さんは、むしろその書き味を大変気に入っている。都市や街は、ほとんど直線と直方体で構成されている。それらを描く時、河原さんが最もこだわっているのは、ペン先が必要なところでピタッとしっかり止まること。

「ハイブリッドテクニカ」0.3mmの書き味は、その点でもまさに河原さんの好みにピッタリなのだそうだ。

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そう話しながら、「ハイブリッドテクニカ」の書き味を確かめるように、紙の上にたくさんの四角や直方体を描いていた。
一般に試し書きというと、書き慣れている名前や文字等を書くものだが、河原さんにとっては、四角や直方体がそれにあたるようだ。

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■ハイブリッドテクニカを超える書き味はまだ出てきていない


最後に、河原さんにとって「ハイブリッドテクニカ」はどんな存在ですか?とお聞きしてみた。

「私にとって書き味の基準となっているペンです。このペンを超える書き味は、ハイブリッドテクニカを使い始めて以降まだ出てきていません。ですので、こうしてリフィルをまとめ買いしているほどです」

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■土橋が注目したポイント

  • 事務用ボールペンの「ハイブリッドテクニカ」が絵を描く筆記具になるとは、新たな発見だった。
  • 河原さんの絵には、人が全く描かれていない。しかも、モノクロ。それなのに、そこには人が生活しているようなリアルさが感じられた。それは、都市や地理学を学んだというベース、そして圧倒的に精密な画力のなせる技なのだろう。


「ハイブリッドテクニカ」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/ballpointpens/gelink/hybridtechnica/



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