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「チョークアート」。
その名前は、はじめて聞くかもしれないが、実は私たちの回りにたくさん存在している。 スターバックスカフェ等やレストランの店頭などで黒板にチョークのようなもので描かれ た看板のことだ。おいしそうに描かれた料理や温かさまで伝わってくるコーヒーの絵など、ついつい引き込まれてしまう不思議な魅力がある。
 その「チョークアート」の作品を集めた展示会が 2014 年 12 月に横浜赤レンガ倉庫のギャラリーで開催された。
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この「チョークアート」、実はぺんてるの「オイルパス(専門家用パス)」で描かれている。
日本にはじめて「チョークアート」を本格的に持ち込み、普及活動を行っている日本チョークアート協会の理事長であり、チョークアート作家の第一人者でもある栗田貴子さんにお話しをお伺いした。
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左が日本チョークアート協会理事・株式会社アーティチョーク代表取締役の栗田貴子さん
右が株式会社アーティチョーク ディレクターの吉田幸豊さん


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日本チョークアート協会主催で毎年開催されている「チョークアート展」
今回はCAFEがテーマだった。

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会場には日本チョークアート協会会員の方による数々の作品が展示されていた。
今回のテーマは架空のカフェを自分でイメージして、その看板を描くというもの。
様々なアプローチでカフェが表現されていた。


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コーヒーの温かさまで伝わってくる

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今にもレンガから犬が飛び出してきそうな臨場感、そして立体感

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ブラックコーヒーの香りがしてきそうだ

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写真の看板よりも、むしろ想像力をかき立てられる

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チョークアート体験コーナーでは、親子で参加されている方々の姿も


■「チョークアート」の歴史

栗田さんによると、「チョークアート」はイギリスが発祥だという。イギリスと言えばパブが有名だが、そのメニュー看板として生まれた。それが、時代とともにオーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどに伝わり広まっていった。中でもオーストラリアは、独自の発展を遂げ、今や「チョークアート」のメッカとも言われている。
同じ「チョークアート」でも、お国柄の違いがあるそうだ。たとえば、イギリスはメニューなどの文字がその中心で、どちらかというと落ちついたトラディショナルなものが多い。一方、オーストラリアは、食べ物や飲み物といった絵をPOPに描いていく、色も鮮やか なものが多い。
栗田さんいわく、イギリスの町中には落ちついた看板が似合い、澄み切った空に代表されるオーストラリアの気候には鮮やかなものが似合う。その国それぞれの町並みにあわせた「チョークアート」が描かれているそうだ。
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オーストラリアのチョークアート看板風景
(作品集:Chalkart Illustrated Vol.1 Veggie & Fruitより)



栗田さんは当初、普通のチョークで描いていたが、耐久性やよりカラフルなものを描きたいということで、顔料を固めたパステル、そして現在メインで使っているオイルパスへと画材を変えてきた。
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最終的には表面をコーティング。
手で触れたり、雨に濡れても大丈夫な看板になる。



■栗田さんが「チョークアート」に魅せられたきっかけ

栗田さんが「チョークアート」に出会ったのは、オーストラリアに留学しているときだった。留学していたのは、シドニーからかなり離れた田舎町。そうしたところにも「チョークアート」は町のいたるところにあった。
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栗田さんは学生時代に絵を専攻していた訳ではなかったが、その時、不思議と自分にも描けるかもしれないと直感めいたものがあったという。この「チョークアート」との出会いがその後の栗田さんの人生を大きく変えることになる。

留学を終え帰国し、いったんは会社勤めをはじめた。しかし、次第に自分ならではの仕事がしたいという思いを強くする。その時に頭に浮かんだのは、あの「チョークアート」だった。
「チョークアート」を本格的に勉強しよう!そう決意し、再びオーストラリアへと 向かった。「チョークアート」は、アートとは言え、基本はお店から依頼があってはじめて描かれる受注型の制作物。そのため、看板屋さんで作られる。栗田さんはオーストラリアの看板屋さんをいくつも訪ね歩き、弟子入りさせて欲しいと頼み込んだという。

現地の方々は一様に、どうして「チョークアート」を学びたいのかと怪訝な顔をしたという。彼らにとって「チョークアート」は珍しいものでもなんでもなく、どこにでもある看板のひとつ。日本人が興味を持つことがとても不思議に映ったようだ。
たとえるなら、日本の銭湯に描かれている富士山の絵を海外の人が勉強したいと言っているようなものだったのかもしれない。

2ヶ月にわたり栗田さんは、オーストラリアの看板屋さんで「チョークアート」の描き方を身につけていった。
そうして「チョークアート」を広めようと意気揚々帰国したのが2001年。折しも日本でスターバックスが展開をはじめ、カフェが少しずつ増えている頃だった。

自ら商店街のカフェやレストランを一軒一軒飛び込んで営業するも、反応は芳しくなく、なかなか依頼はこなかったという。

R0026522 のコピー
フランス、パリにあるピカソやダリたちの芸術談義が繰り広げられたというカフェ
「Café de Flore」をイメージして描きあげたという栗田さんの作品。


そこで作戦を変え、お金は要らないから描かせて欲しいと頼んでみることにした。その代わりに掲載期間は1ヶ月だけとし、1ヶ月後に引き取る際に、お客さんや店員さんの反応を聞かせてもらうことにした。もし気に入ってもらえたら、その時に買ってもらうつもりでもいた。

それでも買い取ってくれるお客さんはなかなか現れなかった。ただ、自分の「チョークアート」に対する感想だけはたくさん集めることができた。今でこそ、日本のカフェやレストランに「チョークアート」が溢れているが、はじめの頃は相当なご苦労があったのだ。

一番最初に買ってくれたのは、自由が丘のイタリアンレストラン。そこから仕事としての「チョークアート」が本格的に始まっていった。

今では、カフェ、レストランだけでなく、エステサロン、古着屋、歯医者さん、リフォームショップなど、幅広い分野に広がっている。
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今や食品メーカーからの依頼もあるという。
これは日清食品チルド社のために描かれたものだ


■土橋が注目したポイント
  • 「チョークアート」がイギリスのパブが発祥だったと初めて知った。お国柄が表れているというのも興味深い。その意味で、現在ジャパニーズスタイルの「チョークアート」が栗田さんを中心に作られているということなのだろう。



*後編はこちら


「専門家用パス」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/artmaterials/pastel/specialpas/

日本チョークアート協会公式ページ
http://www.chalkart-jp.org/


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