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文房具の魅力を伝えるウェブマガジン「毎日、文房具。」。
前編では、「毎日、文房具。」のなりたちや髙橋さんの文具観について、後編では、髙橋さんが溺愛している「エナージェル」を中心にお話を伺った。

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文具ウェブマガジン「毎日、文房具。」編集長 髙橋拓也さん

土橋「髙橋さんは『エナージェル』を溺愛されているそうですが、そもそも使い始めたきっかけは?」

髙橋「会社で働き始めてから数年して、グロービス経営大学院マネジメントスクールに通い始めました。会社の看板に頼るのではなく、自分にもっと実力をつけたいという理由からです。そのスクールがとにかく課題が多くて、毎回たくさんのアウトプットを求められるんです。色々な企業のケーススタディから、なぜその時にその経営判断を下したのか、といったことまで、実に多様で難しい問題を考えていくんです。そして、たくさん考え、それを書いていきました。」
 
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髙橋「当初、紙はA4のニーモシネのパッドを使い、ペンは滑らかな油性ボールペンを使っていました。スムーズな書き味はとてもよかったのですが、実はインクの裏写りが結構見られました。私は書いたものを少し寝かせて再度書いていくというスタイルをとっているので、あとから見直した時に裏写りがあると正直、気分がのらないんです。そこで、ペンを『エナージェル』に替えてみました。書き味はスムーズで筆跡もクッキリしていて、懸念していたインクの裏写りもありませんでした。水性ゲルインクということで書き出しの『ダマ』が出ないのも気に入りました。以来、ビジネススクールの課題は『エナージェル』を使い続けました。インクの裏写りという些細なことでしたが、それが解消されたことでアウトプットに俄然集中出来るようになったんです!

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土橋「すごくハードな勉強を一緒に乗り越えたということで『エナージェル』に対する信頼感が一挙に高まったのでしょうね。」
 
髙橋「まさにそうです。今では考えるという時には必ず手にするボールペンです。

土橋「今、手に持っている『エナージェル』は、その当時のものですか?」

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髙橋さんが永年愛用されている「エナージェル」
使いすぎて、転写がはげている。

髙橋「これは2代目です。当時のものは塗装がもっとはげていてさすがに処分してしまいました。(笑)私はノックタイプのブルーインク0.5mmを愛用しています。」

土橋「それでも相当使い込んでますね!エナージェルへの溺愛っぷりがとても伝わってきます。ところで、ブルーインクと0.5mm?深いこだわりがありそうですね。」

髙橋私はボールペンを使う際、資料に書き込んだりすることもあるので、黒インクだと書いたものが資料の内容に沈み込んでしまいます。以前から『3色ボールペン活用術』を実践していたというのも影響しています。情報や事実は青、自分の意見はミドリ、大切なことは赤という使い分けです。」

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土橋「髙橋さんにとってブルーインクがスタンダードなんですね。私もブルーをベースにしています。万年筆のインクは常にブルーにしていますし。たしかに書いたことが程よく主張してくれるのを私も感じます。もうひとつ、0.5mmという少し細めのボール径をお使いなのはどうしてですか?」

髙橋0.5mmはペン先がニードルチップになっていて、実はそれがしっくりくるんです。書く時にわずかに遊びがあって、その具合も私にはちょうどよいです。

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土橋「『あそび』というとらえ方もできるんですね。私は0.7mmのペン先が完全に固定された『エナージェル ユーロ』がお気に入りです。髙橋さんの言うというところの『あそび』が全くない安定感が気に入っています。人それぞれ求める『書き味』は違うんですね。」
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土橋がお気に入りの「エナージェル ユーロ」0.7mmブルーインク

土橋「髙橋さんにとっての『エナージェル』、当時はビジネス勉強用のペンだった訳ですが、今はどんな用途で使っていますか?」

髙橋「資料を作る時などですね。いきなりパソコンには向かわず、まずは紙とペンで書いていきます。言わば資料作成の『下ごしらえ』。また仕事のToDoは緊急度、重要度に分けたマトリクスを作ってそこに書き入れていきます。ふせんにToDoを書くという人も多いですが、私はあえて一枚の紙に書いています。その日にやりきれずに残ってしまったら、次の日にまた同じことを書かなければならない。そのプレッシャーがあるから、やりきろうという気持ちになれます。

土橋「そんなお気に入りの『エナージェル』をひとつ改良できるとしたら?」

髙橋グリーンのインクが欲しいですね。海外では売られているようで先日とあるところで入手したのですが、本当は日本でも展開して欲しいです。
土橋このほど『エナージェル』のメタルボディタイプ『フィログラフィ』が登場しました。『エナージェル』愛好家としてはいかがですか?」
 
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メタルボディのエナージェル「フィログラフィ」

髙橋「とても格好良く、大人のペンという印象を受けました。特に気に入ったのはツイストしてペン先を繰り出すところ。そのツイスト具合に少し重みがあって高級ペンの雰囲気を感じました。

土橋「書き味は?」

髙橋「正直なところ、いつも使っているプラスチックボディの方が書き味は好きです。メタルボディは私には少し重く感じられました。ただ、この『フィログラフィ』は、会議など人前というシーンでは使ってみたくなりました。色々なボディカラーがありますが、私はホワイトボディ。インクはいつもと同じブルーで0.5mm。

土橋「私も『フィログラフィ』のホワイトボディが気に入りました。ペンのカラーでは珍しいターコイズブルーもあってそれも素敵だったのですが、このマットなホワイトボディに惹かれました。髙橋さんが気になったというボディの重みは私にはむしろちょうどよかったです。日頃から万年筆を使っているせいかもしれません。ボディの重みを味方につけて滑らかな『エナージェル』インキを堪能できると感じました。」 

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主役は文具ではなく、文具によって作られるものと考えている髙橋さん。
その理由から目立たないホワイトボディの文具をよくを選ぶという
私(土橋)も同じホワイトボディを選んだ。ただリフィルは0.7mmのブルー。

土橋「さて、いよいよ最後の質問です。髙橋さんにとって『エナージェル』とはどんな存在ですか?」

髙橋手の一部、脳の一部です。頭で考えたことがペン先まで伝わっていくペンです。常に手元にないと落ち着かないので、ペンケースに入れておくだけでなく、会社のデスクのペンスタンド、自宅のリビングなど、いたるところに『エナージェル』を置いて日々使っています。
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土橋「いたるところにエナージェル!!!本当にエナージェルを愛しているのですね!本日はありがとうございました。」

土橋が注目したポイント
  • 厳しい時を共に戦ってきた友とは太いきずなで結ばれる。髙橋さんにとって「エナージェル」との関係は、まさにそういうものなのだと感じた。たくさんのアウトプットが求められた時に手の、そして脳の一部と化すことができたのが「エナージェル」だったのだ。本当の相棒となるペンと出会うには、そうした修羅場をくぐり抜けるということも必要なのだろう。
     
≪前編はこちら

プロフィール
髙橋拓也(たかたく)
2014年9月に創刊した文房具の魅力を紹介するウェブマガジン「毎日、文房具。」の代表 兼 編集長。文房具が大好きで、ウェブマガジンを通じて文房具の素晴らしさを日本中、世界中に発信することがライフワーク。最近は文房具売り場のプロデュースや文房具メーカーとのコラボ企画の運営など活躍の幅を広げている。
 
■ウェブサイト:http://mai-bun.com


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