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文房具店で手に入るペンで描かれた、エクストリームな白黒の世界(前編)
■ SADAM

作品に目を近づけると、細かな点や線で埋め尽くされているのがわかる。
まるで銅版をエッチングした版画作品のようだ。これらは版画ではなく、手で描かれている

使われているのは、、NIKKOの丸ペン。細かな点が丸い形ではなく、短い線のようになっているのは、、丸ペンのペン先ならではだという。
SADAM氏は「クロスハッチング」という細かなバッテンをたくさん描き込むことで陰影を創り出すことを得意としている。アウトラインを描くというよりも、細かな点や線を描きこむことで、一つ一つのフォルムを表現している。だからだろうか、とても柔らかな印象がある。
SADAM氏は「クロスハッチング」という細かなバッテンをたくさん描き込むことで陰影を創り出すことを得意としている。アウトラインを描くというよりも、細かな点や線を描きこむことで、一つ一つのフォルムを表現している。だからだろうか、とても柔らかな印象がある。
ウェブサイト: www.sdm-r-arm.com
インスタグラム:https://instagram.com/sadam215/
使用しているのはシャープペン。ぺんてるのグラフギア、オレンズを中心にしているという。
今回の作品中で、ひときわ小さな紙に描かれている。もし、手を触れたなら消えてなくなってしまいそうな、そんなはかなさがある。描かれているというよりも、紙の上に浮かび上がっているようだ。

ぺんてる グラフギア500で描かれている(インスタグラムから)
「彼女がすごいのは、影の付け方。ハッチングはしていないようで、ただただシャープペンの筆圧だけで陰影を作りだしているんです」

顔や腕のツルリとした丸みの質感が紙の上に出現している。これまでネットだけで作品を発表していた。
国内での展示は初めてのことだという。

インスタグラム:https://instagram.com/ozabu/
■ AARON HORKEY

アメリカ ミネソタで活動しているAARON HORKEY氏。
とても細いペン先を持つステッドラーの製図ペンで描かれた作品は、白と黒のコントラストがひときわクッキリとしている。ひとつのもののアウトラインが主張ある線で描かれている。
真っ黒に塗り込まれたところは、心なしか立体的に盛り上がっているようにも見える。

製図ペンというと、そもそも図面に一定の太さの線を描くためのものである。
しかし、AARON HORKEY氏の絵には、抑揚たっぷりな線になっている。USUGROWさんいわく、絶妙に筆圧をコントロールしているのだそうだ。
しかし、AARON HORKEY氏の絵には、抑揚たっぷりな線になっている。USUGROWさんいわく、絶妙に筆圧をコントロールしているのだそうだ。
■ USUGROW

それらはまるでエアーブラシで描いたような美しいグラデーションが至る所にあり、それがスカルなどの質感をリアルに表している。
しかし、エアーブラシは全く使っていない。筆記具は、ロットリングの製図ペンのみ。

0.5mm、0.3mm、0.18mm、0.13mmを使いこなしている。
エアーブラシで吹きつけたように見える美しいグラデーションは、それらのペンを駆使してひたすら一つ一つ点を描いているのだという。
エアーブラシで吹きつけたように見える美しいグラデーションは、それらのペンを駆使してひたすら一つ一つ点を描いているのだという。
一方、べた塗りしているところもロットリングを使っている。一度塗りだけだと紙の色が透けてしまうので、必ず二度塗りしているという。
先ほどのAARON HORKEY氏の時も感じたが、製図ペンの黒インクは、漆黒のような深みがある。以前、USUGROWさんがバンドのフライヤーを作っている時、ロットリングで描くと、コピーをしてもその黒さがしっかりと表現できたのだという。
以来、ロットリングを愛用している。

USUGROW氏の絵には、不思議な文字が綴られている。これは、ご本人だけにしか読めない自らの気持ちだという。
基本はアルファベットがベースになっているというが、アラビア文字にも日本語のようにも見えるミステリアスさに満ちている。

USUGROW氏作品集より
このカリグラフィーのような文字も小さな絵の中では、ロットリングで描いているという。1つ1つの文字のアウトラインを先に描いて、その中を塗っていく。
流れるような筆跡なので、てっきり筆で描いているのかと思ったほどだ。
流れるような筆跡なので、てっきり筆で描いているのかと思ったほどだ。
USUGROWさんが唯一ロットリングで描く時に感じる弱点は、いくら筆圧をかけても線の強弱はつけられないところ。
これは、他のペンと大きく違う点だ。細かく描くには、より細いペン先に持ち替えないといけない。ある意味で、とても制限の多いペンである。
これは、他のペンと大きく違う点だ。細かく描くには、より細いペン先に持ち替えないといけない。ある意味で、とても制限の多いペンである。

壁一面に描かれたレタリングアート。これは筆で描かれている。

Twitterで交流があるぺんてるのキャラクター「ぺぺ」宛に
サイン&メッセージ入りの作品集を頂いた!
ウェブサイト: usugrow.com
インスタグラム:https://instagram.com/usugrow/
土橋が注目したポイント
- 「今回のアーティストは、みんなメーカーが推奨する使い方をしていないんです」とUSUGROWさんが話しているのが印象的だった。このペンは、こう使わなければということではなく、頭に浮かんだこと、体で感じたことをペンを手の延長のように表現している。その一体感、そして自由さがあのどこにもない世界観を生み出しているのだと思う。これは、なにもアートの世界だけの話ではないように思えた。私たちが普段の生活や仕事でももっと自由に道具と向き合うべきなのかもしれない。
■ HHH gallery
ウェブサイト: hhhgallery.com
インスタグラム:https://instagram.com/hhhgallery
回廊日:土日祝日のみ (12:00 -20:00)
ウェブサイト: hhhgallery.com
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■ USUGROWさん個展開催のお知らせ
ORGANIC CONTRAST - Artworks of Usugrow
オーガニック・コントラスト - 薄黒の仕事展
2015年8月21日(金) 〜 11月13日(金)
at DIESEL ART GALLERY (渋谷1-23-16 cocoti B1F)
http://www.diesel.co.jp/art/usugrow/
ORGANIC CONTRAST - Artworks of Usugrow
オーガニック・コントラスト - 薄黒の仕事展
2015年8月21日(金) 〜 11月13日(金)
at DIESEL ART GALLERY (渋谷1-23-16 cocoti B1F)
http://www.diesel.co.jp/art/usugrow/