しかし、あるとき、こうした風景の終わりとは一体なんだろう?という疑問が浮かんだという。それを考え抜いた結果、出た答えが「島」だった。島であれば、山の稜線にも終わりがある。そして、小豆島に渡り、現在はそこをベースに活動をしている。
「奇跡の牛」 小豆島で作った島の作品。
■「もぐら」という作品
今回、吉田さんが制作した作品は「もぐら」。
豊かな自然が残っている市原をあちこち歩いている中で、吉田さんの目にとまったのは崖の地層だった。クッキリとした砂・粘土・岩のコントラストが美しかったという。この地層の中でも、生きている生き物もいて、その視点で作品を作れないだろうかと考え、今回の「もぐら」のプランが固まった。
小学校の1階から2階へと続く階段を使い、見学者がさながらもぐらのように土の中をさまよっていく。1階の地中部分には吉田さんが体験した美しい地層が立体的に描かれている。地上へと上がってくと、穴や溝が地面に空いて、その上空から光が差し込み、そこから頭を出すと、まさに「もぐら」の気分が味わえる。
暗い地層の世界から地上へ上がると、そこは一面菜の花畑。
「奇跡の牛」 小豆島で作った島の作品。
■「もぐら」という作品
今回、吉田さんが制作した作品は「もぐら」。
小学校の1階から2階へと続く階段を使い、見学者がさながらもぐらのように土の中をさまよっていく。1階の地中部分には吉田さんが体験した美しい地層が立体的に描かれている。地上へと上がってくと、穴や溝が地面に空いて、その上空から光が差し込み、そこから頭を出すと、まさに「もぐら」の気分が味わえる。
暗い地層の世界から地上へ上がると、そこは一面菜の花畑。
■クレヨンに行き着いた訳
ちなみに、これらは発砲スチロールに描かれている。
■いちはらアートミックスこの菜の花は、「ずこうクレヨン」と「ぺんてる専門家用パス(オイルパス)」だけで描かれている。菜の花の黄色は「ずこうくれよん」の「レモンイエロー」と「きいろ」の2色だけで表現。「ぺんてる専門家用パス」は、「サップグリーン」で茎の部分を、「ボトルグリーン」で茎の影を表現している。
そこには見事なまでの菜の花が描かれていた。
これを見て、クレヨンってこんなに表現力が豊かなんだ・・・というのが、私の率直な感想だった。
そこには見事なまでの菜の花が描かれていた。
これを見て、クレヨンってこんなに表現力が豊かなんだ・・・というのが、私の率直な感想だった。
ちなみに、これらは発砲スチロールに描かれている。
紙と違い発砲スチロールは表面が光を反射するので、菜の花がキラキラと輝いているように見えるという。
実は、吉田さんは、これまでのアーティスト活動の中で、アクリル絵の具を使っていた時期もあった。しかしながら、アクリル絵の具にだんだん限界を感じるようになっていったという。それはたとえば、強い筆圧で筆で描くと、筆の毛が抜けてキャンバスに付いてしまうということなどだった。ならばと、筆圧をかけても大丈夫な「割り箸」を筆代わりに描いたこともあった。割り箸は、筆圧がかけられるものの、絵の具をタップリと含ませることができず、絵の具をしょっちゅう付けなくてはならなかった。
吉田さんとしては、体験したことをいち早く描きたかったのに、それができないもどかしさを感じていた。そんなあるとき、クレヨンを手にしてみると、これがすごくしっくりときた。思いのまま描けるスピード感と心地良さがあったという。
吉田さんとしては、体験したことをいち早く描きたかったのに、それができないもどかしさを感じていた。そんなあるとき、クレヨンを手にしてみると、これがすごくしっくりときた。思いのまま描けるスピード感と心地良さがあったという。
そこで、吉田さんがとった行動がすごい。世界中で販売されている様々なメーカーのクレヨンを取り寄せたのだ。ひとつひとつ試して、最後にこれだ!と行き着いたのが、ぺんてるの学童用のクレヨンとオイルパスだった。
*後編はこちら
*後編はこちら
今回、ご紹介した「もぐら」は、「いちはらアートミックス」で2014年5月11日まで展示されています。
https://ichihara-artmix.jp/■東京都現代美術館
「MOTアニュアル2014 フラグメント−未完のはじまり」でも、吉田さんの作品が展示されています。
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot2014.html
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