「恋は奇跡。愛は意志。」
「運命を狂わすほどの恋を、女は忘れられる。」
多くの女性の心をつかむルミネのキャッチコピー。目から入って脳へというよりも、心に直接響いてくるコピーだ。ターゲットとなる女性だけでなく、男性の心も惹きつけている。そのコピーを手がけているのが株式会社博報堂 クリエイティブディレクター/コピーライターの尾形真理子さん。尾形さんは筋金入りの「グラフ1000」のヘビーユーザー。しかも0.9mm芯タイプをこよなく愛するというこだわり派。ルミネのキャッチコピーはもちろんのこと、すべてのキャッチコピーは全て「グラフ1000」の0.9mmで考えたという。製図用シャープペンでコピーを書くというユニークなスタイルに「グラフ1000」のユーザーである私土橋(私は0.7mm派)の文具アンテナは激しく反応した。
今回は愛用する「グラフ1000 0.9mm」について、そして尾形さんのコピーライティングについてお話を伺った。
今までに尾形さんが携わったルミネの広告とその舞台裏を紹介したウェブサイト
「ルミネ広告の舞台裏」はコチラ
http://magazine.lumine.ne.jp/?cat=31
http://magazine.lumine.ne.jp/?cat=31
多くの女性の心をつかむルミネのキャッチコピー。目から入って脳へというよりも、心に直接響いてくるコピーだ。ターゲットとなる女性だけでなく、男性の心も惹きつけている。そのコピーを手がけているのが株式会社博報堂 クリエイティブディレクター/コピーライターの尾形真理子さん。尾形さんは筋金入りの「グラフ1000」のヘビーユーザー。しかも0.9mm芯タイプをこよなく愛するというこだわり派。ルミネのキャッチコピーはもちろんのこと、すべてのキャッチコピーは全て「グラフ1000」の0.9mmで考えたという。製図用シャープペンでコピーを書くというユニークなスタイルに「グラフ1000」のユーザーである私土橋(私は0.7mm派)の文具アンテナは激しく反応した。
今回は愛用する「グラフ1000 0.9mm」について、そして尾形さんのコピーライティングについてお話を伺った。
ルミネの広告では、コピーライティングだけでなく、クリエイティブディレクターも務める尾形真理子さん
取材では尾形さんと私土橋がそれぞれ愛用の「グラフ1000」を手に進められた
取材では尾形さんと私土橋がそれぞれ愛用の「グラフ1000」を手に進められた
■ 「グラフ1000 0.9mm」を本気で使い出したきっかけ
学生時代からシャープペンを愛用していた尾形さん。シャープペンの良さは消せることと言い切る。尾形さんが働く現場のコピーライターでシャープペンを使っているのはごくごく少数。しかし、どうしてこんなに便利なものを大人になってみんな使わないのだろうと尾形さんは不思議がる。
「グラフ1000」に搭載されている消しゴムもよく使うという。
そもそもどうして0.5mmではなく、0.9mmを尾形さんは愛用しているのだろうか。
「グラフ1000」に搭載されている消しゴムもよく使うという。
学生時代から色々なシャープペンを試し、ある時に手にしたのが「グラフ1000」の0.9mmだった。ぺんてるというメーカー名を意識した訳ではなく、その見るからに職人というマットブラックな佇まいに惹かれたという。1000円もするシャープペンを使うということで、少しだけ背伸びしたいという気持ちがあったと当時を振り返る。
ただ、妙に手にしっくりとくる「グラフ1000 0.9mm」は大学を卒業し、博報堂でコピーライターとして働き始める時にもずっと尾形さんの手にあった。そしてある時、それまでは日常の道具だった「グラフ1000 0.9mm」が燦然と輝き出した出来事があった。
同じ博報堂で働く憧れの先輩のアートディレクターが、「グラフ1000」を使っていたのだ。しかも尾形さんと同じ0.9mmタイプだった。彼女は、数々の人気キャラクターを生み出している著名クリエーターで、そのキャラクターたちを知らない人はいないという存在。仕事ができる先輩も使っている!ということで、「グラフ1000 0.9mm」は尾形さんの手の中で、一挙に特別な存在になっていった。
■ 「グラフ1000 0.9mm」を自分仕様にする儀式
憧れの先輩とは、今では一緒に仕事をする仲良しになったという。
お二人とも同じ「グラフ1000 0.9mm」を愛用しているので、打ち合わせの途中で、たまにペンが入れ替わってしまうこともあるのだとか。
そもそもどうして0.5mmではなく、0.9mmを尾形さんは愛用しているのだろうか。
「0.5mmはどうしても書き味が硬めになってしまうんです。0.9mmだとその点ちょうどよい書き味になります。」
尾形さんは小学生から高校生まで書道を習っていた。そのため、比較的やわらかな書き味がお好きのようだ。取材中「グラフ1000 0.9mm」を紙の上を走らせる様子はとても軽やかな筆圧だった。
その「グラフ1000 0.9mm」を文具店で買うと、尾形さんは必ず行うことがある。なんと中に入っている芯を全部出して、2B芯に入れ替えてしまうのだ。もともと入っているHB芯では少し硬すぎるので、0.9mm芯のやわらかさをより味わえるように、最初から2B芯にカスタマイズしているのだ。
この「やわらかさ」、書き味が気持ちよいというだけでなく、尾形さんにとって大切な点がもうひとつある。それは表現力が豊かになることだ。軽く書けば薄い線、力を入れて濃く太い線まで、濃淡のある色々な表現が可能になる。尾形さんが「グラフ1000 0.9mm」を手にするのは、コピーを考えている時である。頭の中で生まれる考えには色々なグラデーションがある。それを書き分けるのに「グラフ1000 0.9mm+2B芯」という組み合わせがベストなのだ。
■ たくさんの手書きフォントを持っている
小学生から高校生まで書道を習っていた尾形さん。習い始めたきっかけは母親から言われて、という経緯があった。小学校でテストを返される時、先生から「尾形さんの答案はたしかに正解なのだけども文字が汚くて読みにくいね」と言われてしまった。(尾形さんとしては、嫌なテストを早く片付けたい一心で、急いで書いた文字だった・・・)そのことに心配した母親が書道教室に連れていったのである。
■ たくさんの手書きフォントを持っている
尾形さんの「手書きフォント」が実際に掲載された2015の広告。
小学生から高校生まで書道を習っていた尾形さん。習い始めたきっかけは母親から言われて、という経緯があった。小学校でテストを返される時、先生から「尾形さんの答案はたしかに正解なのだけども文字が汚くて読みにくいね」と言われてしまった。(尾形さんとしては、嫌なテストを早く片付けたい一心で、急いで書いた文字だった・・・)そのことに心配した母親が書道教室に連れていったのである。
しかし、それは尾形さんにとって新鮮な体験となった。書道の先生の書く文字はおおらかで美しいものだった。字ってこんなに違うんだ!と思ったという。書道教室では楷書から行書、草書などあらゆる文字を習得していった。これが尾形さんにとって色々な書体を手に入れる機会となり、コピーライティングにおいて気分やトーンを文字で書き分けることにつながったようだ。
この書道教室に通して、手にする筆で生み出される文字が変わっていくことも実感したという。手に馴染む筆であれば思い通りの文字を表現できる。そのため気に入った筆に出会えば、それをたくさん買いこんで大切に使っていった。その後ずっと手にし続ける「グラフ1000 0.9mm+2B」は、そうした尾形さんの繊細なフィーリングに合致したのだろう。
■ 「グラフ1000 0.9mm」に絶大な信頼を寄せる
尾形さんはふだんボールペンを持っていない。必要があれば回りの人から借りればいいという考えだ。コピーライティングをはじめ、尾形さんのあらゆる場面での「書く」は「グラフ1000 0.9mm」が担っている。
■ 「グラフ1000 0.9mm」に絶大な信頼を寄せる
尾形さんはふだんボールペンを持っていない。必要があれば回りの人から借りればいいという考えだ。コピーライティングをはじめ、尾形さんのあらゆる場面での「書く」は「グラフ1000 0.9mm」が担っている。
その溺愛ぶりが裏目に出てしまったことエピソードがある。とある仕事で始末書を書かなくてはならなくなった。それを何の疑いもなく尾形さんは「グラフ1000 0.9mm」で書いて提出した。当然シャープペンで書いた文字は受けとってもらえず、注意を受けた。尾形さんにとって「グラフ1000 0.9mm」は最高の筆記具。なんでいけないのだろうと心底不思議に思ったという。
また、「グラフ1000 0.9mm」の意外な一面を感じた出来事もあった。あるプレゼンのためタクシーで向かっていた。車内ではプレゼンで話す内容を「グラフ1000 0.9mm」で書いていた。タクシーが現地に着き、車から降りる時、手にしていた「グラフ1000 0.9mm」を誤って地面に落としてしまった。悪いことにタイヤの下にコロコロと転がっていった。拾い上げるより前に、ドアが閉まりタクシーが走り出してしまった。完全に「グラフ1000」の上をタイヤが乗り越えていった。
もうダメだと思って走り去ったあとの「グラフ1000」を拾い上げてみると、ボディが少しくぼんだくらいで割れなどは一切なかった。この事故をきっかけに相棒の驚異的な頑丈さを尾形さんは知ることになった。
それにしても、タクシーに轢かれても大丈夫だったというエピソードは驚きだった。私も「グラフ1000」に対する信頼度がさらに高まった。
尾形さんはこれまで15年にわたり「グラフ1000」0.9mmを愛用し続けている。
使っていて故障したということは一回もなかったという。その点でも信頼を寄せている。
使っていて故障したということは一回もなかったという。その点でも信頼を寄せている。
土橋が注目したポイント
- 製図用シャープペン「グラフ1000 0.9mm」を数々のコピーライティングに愛用されている尾形さん。最終的なコピーはズバリと言い切ったコンパクトな一文にまとめられる。そこに行きつくまでにはたくさんの言葉が頭の中に浮かび「グラフ1000 0.9mm」で文字という形にされていく。言葉の微妙なニュアンスを表現できるよう2B芯に入れ替えられ、製図用シャープペン「グラフ1000」は、コピーライティング用シャープペンになっていくのだと感じた。
それにしても、タクシーに轢かれても大丈夫だったというエピソードは驚きだった。私も「グラフ1000」に対する信頼度がさらに高まった。
後編では、「グラフ1000 0.9mm」を手に行われる尾形さんのコピーライティングについて深掘りしていきます。
「グラフ1000」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/graph1000/
「シュタイン替芯」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/refillleads_refilleraser/refillleads/ainsteinrefill/
プロフィール
尾形真理子(おがたまりこ)
株式会社 博報堂 クリエイティブディレクター/コピーライター
主な仕事に、LUMINE、資生堂、FUJITSU、キリンビール、Tiffany&Co.など。東京コピーライターズクラブ会員。TCC賞、朝日広告賞グランプリ他受賞多数。『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』(幻冬舎)で、小説デビュー。
「グラフ1000」商品詳細ページ
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「シュタイン替芯」商品詳細ページ
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