≪前編はこちら
台湾文具ブームの火付け役、タイガー・シェンさん。後編では台湾の文具トレンド、愛用のぺんてるプロダクトについてお話を進めていきます。
■ 台湾の文具トレンド
台湾の文具トレンドを作っているタイガー・シェンさん
「今、台湾では文具ブームです」そう言い切るタイガーさん。現在では台湾の各地でいくつもの文具ショップが出来ている。その火付け役は?と聞くと
「私や TOOLS to LIVEBY の存在が大きかったでしょうね」
以前は、キャラクター文具ばかりが注目されていた中、タイガーさんは文具の機能性や物語に重点をおき、新たな文具の魅力をユーザーに示していった。またその一方で時を同じくして TOOLS to LIVEBY というショップが台湾にオープンし、独特なデザインの世界観で文具のまた違った魅力を表現し、いずれも台湾の人たちの間で人気を博した。台湾はキャラクター文具だけでなく、こだわり系まで幅広い文具を受け入れる成熟した市場になっていった。
デザイナーでもあるマルコ氏とカレン氏がオーナーを務めるショップ「TOOLS to LIVEBY」
台湾の文具トレンドは、マスキングテープや万年筆が人気など、基本は日本の文具トレンドに近いという。そうした中、今タイガーさんが力を入れているのがアンティーク文具だ。アンティーク文具というと万年筆が思い浮かぶが、タイガーさんがプッシュしているものは少し違う。ヴィンテージのシャープペンだ。たとえば、ぺんてるの「ケリー」の古いタイプをいくつも買い付け販売してきた。
ただ単にアンティークの「ケリー」を売るのでは面白くないと考え、2つのプロモーションを行った。一本一本の「ケリー」には製造年月が内蔵の軸に印字されていた。自分の誕生年月の「ケリー」を探そうと呼びかけたのだ。さながら自分の生まれた年のヴィンテージワインを楽しむように。また、その売り上げを支援が必要な子供に寄付するというチャリティも行った。結果は大成功で完売したという。
■ タイガーさんが愛用するぺんてるプロダクト
デザイナーでもあるマルコ氏とカレン氏がオーナーを務めるショップ「TOOLS to LIVEBY」
台湾の文具トレンドは、マスキングテープや万年筆が人気など、基本は日本の文具トレンドに近いという。そうした中、今タイガーさんが力を入れているのがアンティーク文具だ。アンティーク文具というと万年筆が思い浮かぶが、タイガーさんがプッシュしているものは少し違う。ヴィンテージのシャープペンだ。たとえば、ぺんてるの「ケリー」の古いタイプをいくつも買い付け販売してきた。
ただ単にアンティークの「ケリー」を売るのでは面白くないと考え、2つのプロモーションを行った。一本一本の「ケリー」には製造年月が内蔵の軸に印字されていた。自分の誕生年月の「ケリー」を探そうと呼びかけたのだ。さながら自分の生まれた年のヴィンテージワインを楽しむように。また、その売り上げを支援が必要な子供に寄付するというチャリティも行った。結果は大成功で完売したという。
■ タイガーさんが愛用するぺんてるプロダクト
台湾では、現在どんなぺんてるプロダクトが人気なんだろうか?タイガーさん曰く「筆タッチサインペン」だという。そう言えば、つい先日台湾の大型書店であり文具店も併設している「誠品書店」の文具担当の方と話す機会があり、やはり台湾では「筆タッチサインペン」が人気だと聞いたことがあった。タイガーさんによると、書き味が筆のようにしなやかで書きやすく色の種類も豊富なところが人気だという。ちなみに、この「筆タッチサインペン」もまだ台湾で販売されていない頃にタイガーさんがブログで紹介したことがきっかけとなり広まっていたのだそうだ。
筆タッチサインペン(写真は直物生活文具より抜粋)
そんなタイガーさんが、はじめて手にしたぺんてるプロダクトはシャープペンの芯だった。菱形ケースに入った「ハイポリマー芯」だ。小学生時代の頃から愛用しているという。その頃、台湾製のシャープ芯もあったが、それはちょっと硬い書き味だった。「ハイポリマー芯」のなめらかな書き味がすっかり気に入り、現在に至るまでぺんてるのシャープ芯だけを愛用しているという。
また、お気に入りのぺんてるプロダクトとしてタイガーさんは「ボールぺんてる」、「サインペン」、「プラマン」をあげる。機能重視のタイガーさんらしいチョイスだ。「ボールぺんてる」はなめらかな書き味が好きでよくスケッチに使っているという。「サインペン」のお気に入りポイントは「音」。書いている時にするシャッシャという音が好きなのだという。自ら「文具病」にかかっていると認めるだけはあり、マニアックな視点だ。「プラマン」は、ペン先の向きで書き味をかえられるという機能性がすばらしいと絶賛する。同じペン先を持つ「トラディオプラマン」より、あくまでも「プラマン」派なのだという。「プラマン」のペン先は白く、ボディもいくぶんスリムでこちらの方がタイガーさんの好みに合うそうだ。
スケッチによく使うという「ボールぺんてる」
ペンの向きをかえて違う書き味を楽しんでいる「プラマン」
タイガーさんが愛用している「クリックイレーザー」
「スリムなので縦にして使えば少しだけ消せますし、寝かせれば広い面も消すことができます。強くゴシゴシこすっても消しゴムは引っ込んだりしません。中でも消しゴムの固定方法にとても驚きました。ちょうどジグソーパズルのようにピタリとかみ合わせてあるんです。これを考えた人は天才だ!と思いました。」
筆タッチサインペン(写真は直物生活文具より抜粋)
そんなタイガーさんが、はじめて手にしたぺんてるプロダクトはシャープペンの芯だった。菱形ケースに入った「ハイポリマー芯」だ。小学生時代の頃から愛用しているという。その頃、台湾製のシャープ芯もあったが、それはちょっと硬い書き味だった。「ハイポリマー芯」のなめらかな書き味がすっかり気に入り、現在に至るまでぺんてるのシャープ芯だけを愛用しているという。
また、お気に入りのぺんてるプロダクトとしてタイガーさんは「ボールぺんてる」、「サインペン」、「プラマン」をあげる。機能重視のタイガーさんらしいチョイスだ。「ボールぺんてる」はなめらかな書き味が好きでよくスケッチに使っているという。「サインペン」のお気に入りポイントは「音」。書いている時にするシャッシャという音が好きなのだという。自ら「文具病」にかかっていると認めるだけはあり、マニアックな視点だ。「プラマン」は、ペン先の向きで書き味をかえられるという機能性がすばらしいと絶賛する。同じペン先を持つ「トラディオプラマン」より、あくまでも「プラマン」派なのだという。「プラマン」のペン先は白く、ボディもいくぶんスリムでこちらの方がタイガーさんの好みに合うそうだ。
スケッチによく使うという「ボールぺんてる」
ペンの向きをかえて違う書き味を楽しんでいる「プラマン」
ぺんてるのペンの書き味には適度な摩擦があって、それがちょうどいいとタイガーさんは評価している。最近はペンの技術革新がすごく、なめらかさを追求したボールペンが増えている。タイガーさんにとってそうしたなめらかなものだとペンが走りすぎてキレイな文字が書けなくなってしまうという。ある程度書き応えがある方がしっくるくるそうだ。
そして、これはとても永く使っていますと、ペンケースから取り出したのは使い込まれた「クリックイレーザー」だ。かれこれ10年も愛用しているという。消しゴムはよくある四角いタイプは使わず、この「クリックイレーザー」だけにしているという溺愛ぶり。
タイガーさんが愛用している「クリックイレーザー」
「スリムなので縦にして使えば少しだけ消せますし、寝かせれば広い面も消すことができます。強くゴシゴシこすっても消しゴムは引っ込んだりしません。中でも消しゴムの固定方法にとても驚きました。ちょうどジグソーパズルのようにピタリとかみ合わせてあるんです。これを考えた人は天才だ!と思いました。」
■ 一番復刻して欲しいぺんてるプロダクト「インジェクト」
タイガーさんが今注目しているアンティークペン。ぺんてるの昔のペンの中で、もし復刻できるとしたら、どのペンを選ぶのだろうか?そこのところをお聞きしてみた。
「いよいよ本題ですね。今日はこの話がしたくてぺんてるに来ました!!!」
「いよいよ本題ですね。今日はこの話がしたくてぺんてるに来ました!!!」
そう前置きしておもむろにケース入りの古いペンを取り出した。「インジェクト」というシャープペンだそうだ。私自身初めて聞く名前だ。相当に古い商品のようで同席していたぺんてるスタッフの方々も皆さん首を傾げていた。
タイガーさんによると、このシャープペンは芯交換が画期的で芯の入った専用のケースごとシャープペン本体にセットするものだという。いったんセットしてしまえば、次々に芯が供給されていく。タイガーさんが絶賛するのは、ケースに入った芯がなくなる間際にシャープペン本体の窓から赤いマークが見えて、芯交換のタイミングだと知らせてくれるという点だという。
ぺんてるシャープ「インジェクト」(1979年頃発売)
残りの芯が少なくなると、この窓から赤いインデックスが現れる
1979年頃のカタログ抜粋
ぺんてるシャープ「インジェクト」(1979年頃発売)
残りの芯が少なくなると、この窓から赤いインデックスが現れる
1979年頃のカタログ抜粋
たしかにすばらしい機能を持ったシャープペンだ。そうした機能を備えながら見た目にはふつうのシャープペンと全く変わらないスリムさを維持している。ちなみに芯径は0.4mmというなんともマニアックな仕様だ。タイガーさんが復刻してほしいと選んだのも大いにうなずけるこだわりのシャープペンである。私もすっかり欲しくなってしまった。
ところで、こうした古く珍しいペン情報はいったいどうやって仕入れているのだろうか?
「気になるキーワードを検索して探したり、オークションサイトでシャープペンの出品を全てチェックして、見たことがないものがあったらさらに詳しく調べています。」
最後にタイガーさんにとって文具のどんな点が好きか?そしてぺんてるに対するイメージについてお聞きしてみた。
「文具は人の言いたいこと、考えていることを全て具体化してくれます。そのために一番いい組み合わせが選べます。たとえばどのペンと紙にするかといった、たくさんの選択肢があります。そうしたところが文具ならではの良さだと思います。」
「ハイポリマー芯」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/refillleads_refilleraser/refillleads/hipolymer/
「ボールぺんてる」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/ballpointpens/waterbased/ballpentel/
「プラマン」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/waterbasedmarkes/plaman/pramanjm20/
「クリックイレイザー」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/erasers_correctionproducts/erasers/clickeraser/
「文具は人の言いたいこと、考えていることを全て具体化してくれます。そのために一番いい組み合わせが選べます。たとえばどのペンと紙にするかといった、たくさんの選択肢があります。そうしたところが文具ならではの良さだと思います。」
「ぺんてるから感じるのは『イノベーション』。ぺんてるは昔からたくさんの技術を取り入れた製品を出しています。サインペン、ボールぺんてる、0.2mmシャープペンなど。それまでになかった文具を作っているというイメージがあります。」
「ケリー」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/mannencil/
「筆タッチサインペン」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/signpen/fudetouchsignpen/
土橋が注目したポイント
- タイガーさんの古く珍しいペンの掘り起こし能力には舌を巻いてしまった。ぺんてるの方も驚くほどの知識量だった。「インジェクト」は私も全くその存在を知らなかった。改めてその機能を教えていただき、今の時代にむしろ相応しいシャープペンであると感じた。というのも最近よく使われるようになった0.2mmや0.3mmといった細い芯の交換はどうしても気を遣う。それがケースごと交換できれば安心だ。シャープペンにこだわりユーザーが増えている今、「インジェクト」は大いに受け入れられるのではないかと真剣に思った。
プロフィール
Tiger Shen(タイガー・シェン)
1974年生まれ。2009年に開設したブログ「文具病」を通じ日本文具の良さを台湾文具ファンに発信しはじめる。現在は、ショップ「直物(Plain Stationery)」のオーナーとして日本をはじめ欧米の文具の販売を行っている。「直感文具」「文具病」など著書多数。流ちょうな日本語を話す。最近はコーヒーバリスタの資格も所得しているという。
■ショップ「直物(Plain Stationery)」:https://plain.tw
■ショップ「直物」Facebook:https://www.facebook.com/plain.tw/
■ブログ「文具病」:http://www.stationeria.net ※ 現在は更新休止中
「ケリー」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/mannencil/
「筆タッチサインペン」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/signpen/fudetouchsignpen/
「ハイポリマー芯」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/refillleads_refilleraser/refillleads/hipolymer/
「ボールぺんてる」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/ballpointpens/waterbased/ballpentel/
「プラマン」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/waterbasedmarkes/plaman/pramanjm20/
「クリックイレイザー」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/erasers_correctionproducts/erasers/clickeraser/