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地下鉄の銀座駅を降り、A1 出口で地上にあがると、すぐ後は銀座四丁目交差点という、銀座のど真ん中。
出口を出て一つ目の角を左折して、すずらん通りに入る。その通りの右手二軒目が今回取材場所として指定されたビルである。
銀座らしい高級なビルだ。
 
エレベーターで 7 階まであがっていき。ドアを開けて中に入ると、驚きの空間が広がっている。
店内のいたるところにラクガキされているのだ。
 
 
ここはぺんてるが 2014年6月2日〜7月27日まで期間限定でオープンした「GINZA RAKUGAKI Café & Bar by Pentel」。
オープン間もない6月5日に取材に行ってきた。


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銀座の Café Bar というだけあって、店内はシックな大人の空間。まるでホテルの Café Barといった感じだ。
その落ちついた雰囲気とは裏腹に壁、柱、テーブル、さらには窓ガラスにいたるまでラクガキで埋め尽くされている。

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シックなBar空間と落書きというなんともミスマッチがなんとも面白い。
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窓ガラスにもらくがきがいっぱい
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ぺんてるの和田社長の写真にもらくがきがされている
(和田社長も承認済みだという)

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海外からもお客さんがいらしているようだ
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■表現を目に見える形にした空間

ぺんてるでは、2013 年より新しいカンパニービジョンを掲げている。
それは「表現のための多彩な道具を世界中に届け、表現する文化を支え、表現する未来を切り開く会社になること」
 「ぺんてるのプロダクトは、クレヨンや絵の具など人々の表現を支える道具なんです。子供の頃は、よく使っていても、大人になると少なくなってしまいます。そうした大人の方々に表現の楽しさを味わっていただきたいと思っています。実は「表現」という言葉から私自身真っ先に頭に浮かんだのが、「ラクガキ」でした。その「ラクガキ」を通じて、お子さんから大人までが一緒に楽しめて、ひいては家族の絆も強めていただける場として、この「ラクガキ Café Bar」を企画したのです」 そう語るのは、今回の「ラクガキ Café Bar」を中心になって企画した、ぺんてる 経営戦略室の末岡淳史さん。

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「ラクガキ Café Bar」を企画したぺんてるの末岡さん

ぺんてるが今回の「ラクガキ Café Bar」でパートナーを組んだのが、株式会社日比谷Barグループ。同社では、都内に29ものBarを展開している専門会社。「ラクガキ Café Bar」では、同社のBarの中でも、ちょっとユニークな「BE-HOUSE Hibiya」が使われている。「BE」とは「Brand Experience」、つまり「ブランドを体験する」ということだ。Barという空間をひとつのメディアととらえ、様々な企業とコラボレーションしてい くことをコンセプトにしている。そのこけら落としとして、ぺんてるの「ラクガキ Café Bar」がオープンした。

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株式会社日比谷Bar プロデューサーの大谷大介さん


■老若男女が思い思いに楽しめる

私が伺ったのは平日のランチタイム。
ラクガキができる面白い Café Bar があるという噂を聞きつけたお客さんが何組も来店していた。おそらく銀座界隈で働いている方々だろう。あたり一面に描かれたラクガキに目を丸くしながら席に着き、料理の注文を済ませると、再び 360°頭をグルグルと回してラクガキを眺めている。大人のお客さんは、ラクガキができる Café Bar ということを知って来ているのだが、すぐには描きはじめない。
 
一方で、お子さん連れのお客さんもいらした。さすがラクガキ現役の子供だけあって、すぐさまペンを握りしめて、ラクガキをはじめる。ところ構わずといった感じで、床に座り込んで床に描きはじめていた。
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各テーブルには、ラクガキ用のペンが各種用意されている。
これは、そのペンメニュー。それぞれのペンがどの部分のらくがきに適しているかが解説されている。


ひととおりらくがきを眺めていた大人たちも、少しずつこのラクガキ空間に心と体が馴染んできたようで、まずはテーブルの上に遠慮しがちにらくがきをはじめだす。誰か一人が壁に描きだすと、とたんに他の大人たちも壁や窓ガラスに描きはじめていく。
何か抑えられていたものが、一気に解き放たれていくように・・・。
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昼間のお客さんの中には、ママ友グループがベビーカーを押しながら来店することも多いそうだ。
子供連れだと、なかなか落ちついてママ同士のおしゃべりもままならないが、「らくがきBar」なら子供たちは夢中になってラクガキをしてくれるので、ママたちもゆっくりと食事を楽しめる。
また、子供の方も日頃ラクガキをしてはいけないと言われているので、ここでは思う存分ラクガキを楽しめる。

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お酒だけでなく、フードも充実
ランチメニューのサラダプレートを食べたが、ボリュームもあっておいしかった

Bar と言えば、メインは夜だ。夜になると照明も落とされ、いい雰囲気になる。その中でもラクガキはもちろん行われていく。むしろお酒もはいってよりアクティブになっていく。仕事帰りの男性や女性がストレス発散とばかりにあちこちでラクガキが繰り広げられる。

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■ラクガキのコツ

当初ぺんてるでは、はたして大人がラクガキをしてくれるか不安を抱いていた。
たしかに私自身も何年も描いていない。きっとそういう大人は多いと思う。
しかし、ふたを開けてみれば、予想以上にたくさんの方がラクガキを楽しんでくれている。オープンしてわずか4 日後にも関わらず、描かれていない壁や窓はもはやないというくらいだ。
実は接客の中でラクガキを気軽にしてもらえるよう工夫もしているという。
具体的には、ラクガキのコツをお伝えするというものだ。自由に描くラクガキにルールというとなんとも妙な感じがするが、コツは 3 つある。
 
すなわち、
1】好きなことを描けばいい。
2】ゼロから描かなくても、すでにあるラクガキに絵が足すだけでも OK。
3】絵が下手でも OK。絵が描きにくければ、言葉でも OK。

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実は、これらのコツはカラオケと相通じるものがあるそうだ。
好きな唄を唄えばよく、自ら歌わなくても、だれかの歌にあわせて口ずさんでもいい。
また、歌が苦手ならラップ(言葉)でも大丈夫といった感じだ。この 3 点をさりげなくお客さんお伝えして、ラクガキの敷居を下げている。そうしたことが功を奏し、今や至る所にラクガキされている。
そのラクガキを見て刺激をうけて次々に新しいラクガキが生まれるという、いい流れになっている。

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来店された方には会計後に ぺんてるサインペンがプレゼントされる



取材後記
大人になると、「書く」ということがたとえば報告書だったり、手紙を書くなど、どうしてもなんらかの目的のためというのが多くなります。その点、ラクガキがユニークなのは目的がまるでないことです。あくまでも自由に描いていくものです。
その自由さゆえに私たち大人は、いきなりラクガキをしてもいいよと言われても、戸惑ってしまいます。しかしながら、いざはじめてみると、誰もが夢中になってラクガキを描きはじめていきます。
ラクガキには、子供だけでなく大人にとっても自分を自由に解き放てる絶好の遊びなのでしょう。
 
実 際、たっぷりとラクガキを楽しんだ後は、みんな笑顔になって帰っていくそうです。またもう一つ特長的なのは、大人が「ラクガキ Café Bar」に来ると、ほとんどの人がスマホを見ないのだそうです。スマホは、本当に見たいというよりも、手持ちぶさたに見ているというのがほとんどです。目 の前にもっと楽しいことさえあれば、見る必要もなくなってしまうのです。「ラクガキ」の秘めた力というものを感じました。  
 
今回、私も少しだけラクガキをしてみましたので、しばらくしたらまた「ラクガキ Café Bar」を訪ねてみたいと思います。

きっとだれかに描き加えられて違ったラクガキになっているでしょうから。
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■日々進化をとげる落書き
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■GINZA RAKUGAKI Café & Bar by Pentel
http://pentel-rakugaki.jp/